

まるで海の中にあるサンゴを見ているみたい。
トゲのような枝が細かく張り出したこの樹木、「インドセンダン」と言います。学名はMelia azadirachta。
インド原産の高木で、5000年も前から万能薬の木として言い伝えられているそうです。

ディスプレイにも重宝なシーブッシュ
あまりなじみのない名前ですが、最近人気が高まっている「ニームの木」といったらご存知でしょうか?
アザディラクチン(azadirachtin)という成分が含まれ、作物に害を及ぼす虫たちの成長を邪魔するそうです。
脱皮や羽化をしにくくしたり、摂食障害(虫の・・・です。人に害はありません)をおこさせたり、また害虫が回りに寄り付かないことから虫除けの木として重宝されています。
インドではこの枝を噛んで歯ブラシ代わりにしてきたそうです。たしかに爪楊枝にもなりそうな枝振りですものね。ほかにも歯磨き剤や石鹸などにも使われていますし、乾燥した枝や葉は、穀物や衣類の防虫剤にもなります。

本当にどの部分をとっても薬になる働き者です。
実や樹皮からとった成分は、「苦楝子(くれんし)」や「苦楝皮(くれんぴ)」と言って、昔から生薬に使われているのだそうです。
ドライアレンジで使うときには、美しい枝振りにばかり目が行ってしまいますが、こんなに役に立つ中身の方を知ると尊敬してしまいますね。
ドライアレンジの主役は植物です。アートとして表現する以前に、植物としての歴史や果たして来た役割にいつもいつも感嘆させられています。