




もうすこしご紹介させてください。


ところで、お話は前後しますが、皆様はブーケホルダーって何かご存知ですか?
18世紀のヨーロッパ貴族の間で生まれたブーケとドレスのためのアクセサリーです。
当時は宝石がちりばめられたかなり装飾的なものだったそうです。
ブーケの作り方によって、そこは束ねられたワイヤーになったりもしますが、花嫁さんがブーケを持つときの「持ち手(入れ物)」の部分です。
プラスチックの棒状であったり金属であったりします。
実用に走りがちなその部分を、繊細なガラス細工で作ったことがもう、とってもアートの世界です。
プリザーブドブーケとの相性が抜群と感じたのは、ドレスに合わせてブーケだけを交換することが出来ますし、もしかしたら「母から娘へ」ウエディングの記念に譲り渡す事が出来るかもしれません。
幸せになれるという言い伝え「サムシングフォー」のうち、古いものを1つ・・・最高のサムシングオールドですね。

坂本: 「3人の職人さんしか作れないということですが、それくらい難しい技術を要するということですか?」
石塚: 「その通りです。実はその3名の職人さんは主に通常は理化学系の商品を作っています。フラスコや試験管といった実験で使うようなものたちですね。
耐熱ガラスを使うバーナーワークといいます。理化学系の職人さんたちは技術がものすごくしっかりしているんですよ。単に工芸的に美しいのを通り越して、コンマ何ミリの正確さや、圧力にいくつまでなら耐えられるといったことまでクリアしないといけませんからね。しかも使っているガラスはレンジ台でおなじみのドイツのSHOTT社のものです。」

坂本: 「フラスコが職人さんの手で手作りされているとは知りませんでした。それにしても、フラスコとこの繊細でおしゃれなブーケホルダーがイメージとして結びつかないのですが。」
石塚: 「その理化学的な技術にデザイン性を提案するのが私の仕事です。」
坂本: 「なるほど、石塚さんはステンドグラスやガラスのオブジェなど、ガラス工芸作家としてもご活躍ですから、その視点でのデザインのご提案とディレクターをなさっているわけですね。バーナーワークでこの繊細なホルダーを作るのにご苦労される点はどこですか?」
石塚: 「作品の中心がぶれないようにすること。シンメトリーを作り出すことです。高温で熱して常に重力の方向へ流れ落ちてしまうのがガラスですから、そこに中心をつくり出すのは難しいのです。同じ理由でホルダーの口を広がり過ぎないように調整したり、流れるドレープを出す事も難しいですね。」

坂本: 「耐熱ガラスのホルダー以外にクリスタルのホルダーもあるとお聞きしましたが。」
石塚: 「そうです、ご用意しているホルダーはその2種類です。バカラでおなじみのクリスタルとは鉛の含有量24%以上のものを言います。光の屈折率が普通のガラスより高くなるので輝きが増すのです。私たちがご用意しているのは鉛含有量が15%ほどのセミクリスタルというものです。クリスタルガラスはカットワークを深くする事でさらに屈折を多くして輝きを増します。
ホルダーにはカットワークを取り入れた種類もありますよ。」