




今年も無事11回目のカラコレス生徒作品展を迎えることが出来た。
受講生の体当たりの個性的な作品を前に感動する事しきり。
この仕事を始めて13年。
何だかあっという間・・・。
毎日何やかやとあわただしく、あるときは答えの出ない問題に直面しては考え込み、又あるときは力不足に落ち込んだり。
そんな落ち着きのない母の姿を、物心ついたときから見慣れている長女15才がある日言い放った。
「私はママみたいに挑戦しすぎるのはイヤ。ほどほどが好き。」
ほどほど? それって何? どこにあるの?
「いい若い者が何を言っておるか~っ」と白ひげのおじいさんが言いそうなセリフをはいた・・・ような気がする。
ほどほどがどこにあるのか分かっていれば最初からそこに行くけど、分からないから・・・。
作品展会場にいると普段見ることのない風景がいろいろ垣間見えてくる。
3人姉妹のお姉さんが、来春結婚される末の妹さんにブーケを作り出品した。真っ白な素材を集めてデザインされたまぶしいばかりのそのブーケは、想いがしっかり込められていてこちらまで暖かくなる。その作品を前に仲良く話していたカップルに「あなたが妹さんですか?おめでとうございます。」と声をかけたところ「私は2番目で、来年結婚するのは下の妹です。私の結婚のときにも姉がブーケを作ってくれました」と・・・。
また先週お嬢さんが結婚式を挙げたばかりのお母様からは、「母や親戚の人に急にコサージュが必要になったのですが、時間も無かくてどうしようと・・・。とっさに今まで習った作品をいくつかリメイクして、3つのコサージュを作りました。バラとちいさな木の実とリボン・・・。暮らしに生かすってこういうことなんだなって分かりました。」とうれしい報告。
他にも今年の作品を前に「去年作ったあの作品は隣の部屋へ移して、今度はこれを出窓に飾ります。」とか、「いままで介護が大変で何も出来なかったけれど、これからはきれいな作品を思う存分作りたい」と生き生きとお話してくださる生徒さんたち。
本当にたくさんの喜びを与えていただいているのは私のほうで、まだまだ私たちにお手伝いできることがあると思うと嬉しい。
そこには「ほどほど」なんて入る余地もない。
作品展で、限界に挑戦している生徒さんにしても、「昨日のほどほど」はもう「今日のほどほど」とはちがう。可能性の巾が飛躍的に広がってしまうからだ。
それは教える側の私たちにとっても同じこと。
可能性の振り子を最大限振り切ったとき、はじめて「ほどほどの在りか」が分かるんじゃないかな、なんて思う。
カラコレス・プリザーブド&ドライアートスクール代表 坂本裕美