初心者でも安心 プリザーブドフラワースクール カラコレス 長野教室

「どうしよう、またいつもの雰囲気になっちゃいそう！」
大量にあるリボンの棚の前で、たびたび繰り返されるお客様の会話。
カラコレスで用意しているアレンジ用のワイヤーリボンは数百巻ある。
ヨーロッパからの輸入リボンをこれだけそろえているスクールはほとんどないので、普通に考えたらレッスンの度に違う種類を使えることになる。
が、不思議なことに人によって傾向が偏るのだ。

シックなデザインが好きな方は、やっぱりリボンもシック系。グレーやブラック、落ち着いた色合いの2色織りのリボンなどを組み合わせて、それはそれは素敵な作品に仕上げてゆく。
反対に華やかなのがお好みの方には、柄物から色鮮やかなのとこちらも事欠かず、目のさめるような美しい作品に。
色自体にこだわる方もいる。ピンクが好き。ブルーが好き。紫が好き。
・・・それぞれのリボンを見ていると、良くそれを手にされている方のお顔を思い出してしまう。

「いつもと同じになりそう」という言葉からは、「でも、私これが好きなんだもの！」と言いたげな様子が漂っている。そういう時は「お好きなリボンをどうぞお好きなだけ使ってください。」と申し上げることにしている。
すごぉく迷って、いろいろ取り替えて結局最初に手にしたリボンに落ち着くパターンが多いから。

カラコレスを始めた10数年前の私は「これだけたくさんあるのだから、今日は違う雰囲気に挑戦してみましょうよ」と言っていた。でもレッスンを重ねて行くうちに、その提案が受け入れられるには、お客様の方に「ある準備」が必要なことに気が付いたのだ。
「ある準備」とは「幼虫の時期を謳歌すること」。

自分の好きな色にこだわり、好きな雰囲気、好きなデザインを楽しみながらも徹底的に作り続けること。
毎月のレッスンでも、作品展の大型作品でも、とにかく「好き」を追求する。
「○○さんらしいわよね、この作品」と周りに言われるようになると、幼虫の時期が終わりに近づいているのかもしれない。

そしてある日突然、今までこだわっていた色や雰囲気や組み合わせから開放される。
「何かいつもと違うリボンを使ってみたくなったの」、そんな絵に描いたようなストーリーが展開されるのだ。幼虫からさなぎへ、そして蝶へと脱皮する瞬間。

それは誰にでも・・・、お客様にも、スタッフにも、また私自身にも起きる。しかも何度でも。気分で言ったら「いままでのそれはもういいの」と言う感じかな。
前のものを投げ捨てるわけではなくて、何かちょっと新しい冒険を加えてみたくなる気分。

いつその状態がやってくるのかはひとそれぞれ。
ただヒントは「量」の追求ではないかと思う。たくさん作って、たくさん挑戦して、たくさん失敗もして・・・「たくさん」を経験しないとそのときはやってこないような気がする。
そのひとの、その時々のグラスを満たす事。

だからといって、あわてて「たくさん」に挑戦する必要はないと思う。
今「好き」を見つけられている方は充分それを楽しんで、その先にまた思いがけない自分が居る。充分に楽しむのがポイントなのかも。
また、プリザーブドやドライアートを始めて間もない方の中には「好きなスタイルが分からない」とおっしゃる方が大勢。こちらも時間をかけて作品作りをする中で「自分が好感の持てるスタイル」の手がかりをさがして行く。
卵から幼虫が生まれるのも、さなぎから蝶へと同じように「充分な時間」が必要なのだ。のんびりじっくり楽しみながら・・・。

そういえば「ニャッキ」はたくさん食べて、どこかで無事ちょうちょになったかしら？

カラコレス・プリザーブド＆ドライアートスクール代表　坂本裕美