

ライフ・シガースンとの出会い
カラコレスのスタイルを模索する中で、大きなエネルギー源となったデンマークのアーティストがいます。雑誌でその作品をみた時は衝撃的でした。
神秘的でありながら、自然の中でも違和感のない不思議な魅力にあふれた作品をつくるひと。彼の名前は“ライフ・シガースン”。

2001年2月、2度目のデンマーク訪問の際、雑誌の切り抜きを手に彼のショップを訪ねました。
ショップの名前は「GAVEN TIL PAVEN (法王への贈り物)」。
以前ローマ法王への贈り物に、彼の作品が選ばれたことからつけられた店名。
ようやく探し当てたお店は、大きな公園の脇にひっそりと立つ本当に小さな建物。大人2~3人も入れば身動きできないその小さな空間に、彼オリジナルのアンティーク風作品が並んでいます。

ライフ・シガースンは一人でお店番。親しみのある笑顔で迎えてくれました。
お店の両側に取り付けられた古い棚には、テラコッタの植木鉢や、ちょっと曇ったガラスの容器、刺繍の付いた白いリネン、麻紐、さびたアイアンの道具などが置かれていて、秘密の納屋に忍び込んだよう。
雑誌で見た作品が魅力的であったこと、私もドライアートをやっていることなどを、英文プロフィールや作品写真を渡しながら伝えました。
つるに木の実だけを絡ませたガーランドの作品を見て、「素敵だね」とひとこと。

テ・アンデルセンに師事してきた彼ですが、師匠のテ・アンデルセンの作品はダイナミックで堂々としていて、時に見ているものを圧倒します。
「あなたの作品はなんだか懐かしいような気がする。」と伝えたら、うなずいていました。
表現するもの同士、簡単に言葉の壁を超えてしまう。
「カラコレスがもしスクールのレッスンツアーを実施するときには、あなたのアートスタンスをレクチャーしてもらえないか?」とたずねたところ快諾してくれました。

ある年の夏、3度目の訪問。ちょうど外出のため鍵を閉めているところへ伺ったところ「お久しぶり」とあけてくれました。やさしさの伝わる作品はいつも健在。
彼自身が作った、アンティークパールを編みこんだ手のひらに収まるようなニットのポーチを2つ。彼の作るノスタルジックなオーナメントはいつも楽しみ。
気さくで暖かい人柄で、淡々と自分の世界を開拓していくような雰囲気が、アーティストとして魅力的なひと。