




我が家の玄関には、東向きに小さな明り取りの窓がはめてあります。
外壁の根元に何年か前に植えたアイビーが壁伝いに成長し、二階の窓の下の辺りにまで来ています。
家の中から窓越しに外を見ると、ちょうどアイビーの薄いグリーンの影がフレームのように見えます。
昨年の6月頃、一匹のとてもちいさなトカゲの子が、ガラスの外側についていました。
4〓5センチで、まだ手足の吸盤もビーズみたいな丸い先の部分しかわからないような・・・。
そのちいさなトカゲの子が毎日毎日夕方になる頃やってくるのです。
明り取りの窓からもれる家の照明に虫たちが集まってくると、アイビーの影に身を隠しながら捕獲しているようです。
なかなか賢い! この方法なら小さなトカゲの子でもなんとかエサを効率よく食べられます。
名前を「ちか」とつけました。
ちかちゃんは、しかしエサ取りが上手ではありません。
まだちいさいせいかすばやく動くことが出来ないようです。
すぐ近くに来ている虫に気が付かない風だったり、一度くわえたえものをとりにがしてしまったり・・・。
私たち家族はガラス窓の裏側から、「もっと右!! あ〓あ失敗・・・」
なんて声援を送っていました。
もちろん玄関の照明をしっかり付けて。
ちょっと大きくなったちかちゃんですが、9月に入り秋風が吹くようになった頃から姿が見えなくなりました。
玄関の照明も早めに消すようになりました。
そして今年の6月、ほんのちょっと大きくなったちかちゃんが窓ガラスにやってきました。
ビーズみたいだった指がきちんと星の形になり、心臓がことこと動いているのもわかります。
昨年は右手と左足、左手と右足とバランスをとらないと動けなかったのが、手だけ右左とか、足だけなんてイレギュラーな動きも出来るようになっていました。
ラスの裏側からじっと見つめられていることも気が付かず、ちかちゃんは今日もマイペース。
私の役目は夕方照明のスイッチを入れることです。
カラコレス代表 坂本裕美