好奇心と解体のすすめ
ドライアートのアレンジ上達のコツを…と聞かれ、そもそも何が上達で、何が上達でないのか、ふと考えてしまうことがあります。
見本はコレ! 同じように作りましょう、というスクールならいざ知らず、「あなたらしさ」を大切にするカラコレスのレッスンでは、その辺りは大変デリケートな問題です。作る作品が商品でない場合は、「あなたのために」作ればよいと思います。
“何となくここにコノ素材を入れたいのだけど”とおっしゃるお客様がいらして…その“何となく”という貴重なメッセージを差し置いて、講師である私たちが無神経に他のものを入れ替えてよいのだろうかと。たとえば途中までアレンジした素材を抜いて「ここにはコレを、こちらにはコレを!」と組み上げたとしたら、うわべがどんなにまとまっていても、それは提供する側のデザインでしかありません。
人それぞれの”何となくここにコノ素材を”の感性をいかした上で、さらに美しいデザインに仕上げるために、私たちご提案する側は常に頭に汗を…(いえ、冷や汗を)かいているのです。何と言っても皆違うのですから。教える事は教わる事、と感じる瞬間でもあります。
最初から模範解答らしきものを用意しても、あまり意味が無いように思われます。コノ素材はこう使えばこんな表情が出て、でも違う使い方もできる。そのひとつひとつの面倒なプロセスでの発見が、作品に「その人らしさ」を加える事になるのです。簡単に手に入る回答は皆の”答え”、けっしてあなただけの強みにはなりません。
でも、作品に「その人らしさ」を出すってどういうこと?・・・実はそれこそがカラコレスでいう上達ではないかと思うのです。やっと本題にたどり着きました!上達のコツは「好奇心と解体のすすめ」とお伝えしておこうと思います。
風景でもアレンジでも、絵でも庭でもなんにでも・・・あっ素敵、とか、うまく言葉にできないけど好き、と感じるときがあると思います。それを心にとめておきましょう。写真に写せるものは撮っておきます。ノートを一冊用意して、カードでも雑誌の切り抜きでも保存して、”心惹かれるもの特集”をつくるのもよいと思います。
後はそれを解体していく。解体といっても切り刻んでしまうわけではありません。その絵や写真やデザインの中の、どの部分に自分が共感したのかを探し出すことです。心を動かされたのはどのラインなのか、色彩なのか、それらのバランスなのか、構成なのかなどなど。別の紙に描き写してみても、面白い発見があるでしょう。それを繰り返していくと、パターンがあることに気付くはずです。
この色の組み合わせが多いとか、この形が好きらしいとか。
そこで発見したことを意識してアレンジを続けていくと、徐々に自分のスタイルが出来上がるように感じます。
同時に、好きの反対、自分の好みでないデザインにも注意をむけてみる事をお勧めします。どうしてそう感じるのか。そこにもヒントが隠れています。
デザインに表現される「あなたらしさ」をまずは意識すること。さらにその精度を高めていくことが、ドライアレンジ上達へつながる道でしょうか。
ぜひ身近なところから試してみてください。
カラコレス代表
坂本 裕美