
コペンハーゲン通信 Vol. 1

白夜のコペンハーゲンに、7月半ばから1ヶ月間滞在する機会を得ました。
長野の猛暑を離れて、最高気温が24℃位。快適なサマーステイとなりました。
何回かに分けて夏のコペンハーゲンの街の様子、スカンジナビアスタイルのお家のインテリア、花材選びの事、ライフスタイルエキシビジョンのようすなどをお伝えしていくつもりです。

私たちの借りたアパートメントのあるエスタブローはコペンハーゲン中心部から4~5キロ離れたところにあるこぢんまりと落ち着いた住宅街です。エスタブロー通りの両側には沢山のお店も並んでいて観光客よりも地元の人が多い暮らしやすい場所です。
アパートはレンガ造りに白い木枠の窓の入った100年以上前の素敵な建物で小さな木製のエレベーターも一応(?)付いていました。建物の入り口には共通のキーが掛かり、各階の2戸ずつ入った個人宅にも個別のキーといった万全のセキュリティで安心です。

私たちの住宅は最上階の5階(日本でいうところの6階)で、曇りひとつない窓から見えるコペンハーゲンの空やレンガの屋根や教会の塔、時折聞えるカモメの鳴く声が海に近いことを教えてくれます。
152m2のアパートメントには広々としたエントランスにダイニングキッチン、ベッドルームがふたつとリビングルーム、こちらも30人位のパーティーが楽々出来そうな広さです。あとはストックルームとオーナーのプライベートルーム。どの部屋も壁を白く塗ってあり隅々まで手入れの行きわたったとても清潔な空間です。オーナーの奥様は家事のエキスパートのようです。キッチンのシンクの下やストックルームにきちんと揃えられたブラシ類や、洗剤の数々が物語っていました。

適度に置かれたプライベートな物たちが、ホテル住まいとは違う安らぎを与えてくれます。そして何よりも目に入ってくるのは各部屋に置かれた沢山のランプとキャンドル。
部屋の中央に全体を照らす照明はほとんど付いておらず角々に置かれたランプとキャンドルたちが間接的な灯りを送り、何ともいえない奥行きのある空間に仕上げます。

私たちも何日か居る間に、食事前にキャンドルに火を灯すのが習慣になりました。均一でない揺れる灯りはなんと暖かいものでしょう。1ヶ月の間灯りのぜいたくを充分楽しみました。
キャンドルも色々な形のもの、ホルダーの凝ったものなど、必ず2つセットで飾られます。
ドライのアレンジもそうですが、”2つセットで”というのがスカンジナビアスタイルの特徴でもあります。

日本の美にはシンメトリーのものは少なく、どうしてもバランスをあえて崩したくなるところですが、北欧に来て、その空気や空間の中でふたつお揃いのデザインを見ると不思議とおさまりがよいのです。
又、今人気の北欧のシンプルで機能的なスタイルも背景に時代を感じる建物や、家具が入ると一層素敵に見えます。
リビングに飾られたモダンな小物たちがそんなことを教えてくれました。

オーナーはスカンジナビアエアラインをリタイアされた方で、9ヶ月間をここで暮らし、夏の間の3ヶ月間はここを貸して、ご自分達は2時間程離れたサマーハウスに移られるのだそう。
滞在の間に、植物の手入れと郵便物を取りにいらしたオーナーのイーガンさんにお会いできました。
日本から持ってきたカラコレスの英文プロフィールと小さなギフトを手渡すと、「娘夫婦と孫達はもう4~5年東京で暮らしている。」と教えてくれました。

冷蔵庫にマグネットで留めてある沢山の写真を指差してこれが「娘夫婦、こちらがいちばん最近生まれた孫…。」
と楽しそうに説明してくださるおじいさんです。
家具も食器も本も…持ち主がわかると何だか身近に感じられるのが不思議ですね。