





日々感じることや暮らしのこと、北欧・デンマークでの素材探しの旅やアーティストショップ巡り、さらにデザインのひらめきなど、カラコレスの舞台裏をご紹介します。

午前は最終のシミュレーション。
いよいよここまで来たのね。
まだ少し課題はあるけれど、もう来週にはこれらの花や食器や
テーブルクロスは箱に詰められて海を渡ってしまう。
現地でどうにかするしかなくなるわけ。
そういう覚悟も含めた最終シミュレーション。
で、午後は別のお仕事をして、
明日の稲刈りのために実家のある佐久へ。
ほとんど役に立ちませんがお茶のお当番などなど。
非日常が、普通の暮らしの積み重ねの中に入っているって、
健全で安心で挑戦的だと思う。
以前、お筝を習っていて、その流派の音楽院にも
演奏家と指導家と別々の道があったように記憶している。
自らの演奏で人を魅了する人と、
より良い演奏をするコツのようなことを教えることができる人は別なのだと思う。
それはまさしくカラコレスの研究生の中でも繰り広げられていることであり、
「とにかくデザインを、オリジナリティーを追求したい」人には
正しいありかたなんてどうだって良いわけで、
私が唯一そういったアーティストたちのお手伝いができるとすれば
「その好奇心、その前に進みたい気持ち」をくみ取って最良の花材と場を提供すること。
しかもそれにはタイミングがある。
前へ進みすぎた課題は逆に好奇心を失わせたりするので、
今できるところのほんの少し先、が大事。
一方、指導家タイプの研究生は、
より正確に伝えるために作業の一つ一つに腐心する。
私はいわば演奏家タイプの指導家もどきなので、
どちらの気持ちもよくわかる、ちょうど良いポジションなのだ。
でも健康のために(笑)、時々どちらかに思い切り振り切りたくなる時があって、
それがこの秋のサロン・ド・ショコラのディスプレイであり、
2週間の渡欧の原動力になっている気がする。
バランスを取ろうなんて考えないほうがいい。
アンバランスのバランスこそ、私にとっての最良のバランスかと。
生徒作品展のほうも、60作品ほどの制作が終わり
残すところ20作品ほど。
まだまだ参加の確認が取れていない方は
これからしっかりご連絡しますが、
(まだ間に合いますよ、あと1か月ありますからね)
それでも何とかひと山越えたなという気分。
そのあとにつづく研究コース生の個展について
やっともろもろの準備が着手できそう。
サロンドショコラのほうも作業は
詰めを残すところまで来ているし。
でも、本番はこれからなのよね。
アレンジでも大きなところから手掛けて、
最後本当に美しくまとまるかは細部にかかっているので。
この「ひと山越えた感」は安心感じゃないから。
「細心の注意」が要るのはこれからよね。
そうはいっても、もうほうぼうの出先教室では
作品展後のお食事会の企画も出てきたりして、
スタッフも生徒さんたちも、やっぱりひと山越えた超えた感・・・感じているみたい。
作品展の開催まであと1か月を切り、
サロンドショコラ他パリとイギリスとデンマークの渡欧まであと1か月。
この間義母の100日法要が函館であったりと
何かと気忙しい1か月。
あっという間に搬入であっという間に
スーツケースを持っていそう・・・。
さて、やり残したことは?
まだ山ほど!
凝りに凝ったテーブルつくりです。
水色のシルクフォンダンに3センチのアコーディオンプリーツを入れて
それをテーブルの裾から10センチほど長めに引いて
シルクの上にはピュアなピンクのクロスを掛けます。
水色のシルクが見えるように2か所ピンクのクロスを持ち上げて
そこにはフランス製の手作りのフサ(タッセル)を下げます。
更にピンクのクロスの上には白のオーガンジーをふんわりかけて・・・。
水色のシルクはプリーツがペタッとならないようにところどころつまんで
タックを入れて奥行き感を出します。
クロワッサンラスクが映える「マリー・アントワネットのお茶時間」の完成です。
背景は薄いグリーンにピンクのバラの茂み。
ああ、やっと出口、見えてきた。
でもまだまだシミュレーションは続きます。
友人のライターさんが言葉の部分を少々手掛けた
あまりに美しい山の写真集が出来上がった。
佐々木信一さんという写真家が撮影したもの。
表紙も素敵。
私はこの先こんな高い山に登ることはないけれど、
実際にその空気を経験した人は
写真を見ても感じ方が違うのだろうなと、
うらやましい。
私が唯一感じられるのは「霧の気配」。
子どもの頃、母の実家の前に迫る山の
朝霧に煙る風景が、写真を見ていてよみがえった。
結局ここでも感じるかどうかは「経験」なのね。
なかなか出回っていない高級感のある、
手間のかかったアートのお花をここの所作品展で多用している。
入荷してもすぐお客様の目に留まりお取り置きになってしまうので、
仕入れが一時も気が抜けない。
で、そのお花の買付がとてつもなく面倒。
商品コードがない。
色が一定でない。
葉がついていたりついていなかったりで一定でない。
色染めも微妙な指定ができたりする。
一枚一枚色を染めて組み上げるのでどんな花も組み上げ可能。
つまり何でもできる。
つまり何から何まで自分の意志で決めないとならない。
これは大変なことです。
楽しいけど、とってもエネルギーを消耗する。
パンフレットが整っていて、商品コードで管理されていて、
「これがおすすめ」とか「こちらが大人気」とか手がかりがあったら楽なのに・・・
とは思うものの、本当にそれを望んでいるのかと言ったら、
そうじゃない。
そんな薄っぺらい情報なんかに惑わされないでやっとたどり着いたのだった。
やっとたどり着いては見たものの、
日々の仕事になった途端「ああ、もう!面倒」
面倒なんだけど、頑張って厳選して吟味してオーダーをし続ける。
もう、わかってるから。
面倒の先にしか個性が花開かないことが。
大量にレッスンをしている生徒さんに、
ある日突然、微妙な言葉が伝わるようになる。
「なんて言ったらわかるかなあ・・・」というストレスは
いつもレッスン時に抱えていて、
それをわかりやすい言葉で伝えるのが私たちの仕事でもあるのだけど。
ほんとに、ある日突然、
「ここバランスが取れないから少しこうしてああして」を、
こちらが考えているスピードでざっくり説明してもわかってもらえるようになる。
こういうの以心伝心って言うのでしょうか?
考えているスピードで伝わるって、ほぼ瞬間ってこと。
しかもある日を境に突然、起こるんですよね、そういうことが。
連日、サロンドショコラの際の内装業者さん兼画家さんに確認のお電話。
本日は騒々しいと思ったら、
「震災復興のボランティア募金中」でした。
遠いフランスの地での活動に日本からお礼を述べて、
本題に入る。
「今日もお仕事なの?(休みなのに)」と聞かれるので
「レッスンはお休みですが、そういうときしかできないいろいろがありますので」というと
「日本人は働くねえ。私はぶらぶら過ごしたいんだよね~」と享楽的なお返事。
それがその通りならアーティスティックですけど、
先日のお話から「ここの所内装の仕事が4つも重なっちゃって」と
やっぱりパリに居ても働き者の日本人なのでした。
だから信用できるとも言えますが。
とっても頼りになる画家さんです。
価格をつけてそのまま作品展制作レッスンにいらしている生徒さんたちにも
お見せしてご要望があれば使っていただく。
花材はほんとに右から左。入れても入れても追いつかない。
明日は第二弾の花材の到着。
こちらもいつまでストックがあるかな?
とにかく毎回新しい種類がはいって
生徒さんたちも楽しそう。
その歓声を聞きたくて私もスタッフたちも
頑張ってしまうのですな、つい。